第154回の例会は、山崎寛恵氏(東京学芸大学)をお迎えし、オンラインで開催されました。
発達心理学,生態心理学を専門分野とされる山﨑氏の講座は、エコロジカルな情報の存在を日常生活における一見何気ない子ども達のふるまいからの気付きを通し、今後の重要な一つの観点を示唆していただきました。
「発達へのエコロジカル・アプローチ こどもと周囲の出会いを楽しむ」というテーマで、「知覚(encounter)」を通し、子ども達の感受しているエコロジカルな情報の分析を講義していただきました。
前半は生態心理学(アフォーダンス理論)に関しての座学。後半は、文京区立お茶の水女子大学子ども園で行われた実践の貴重な動画を参加者と主に視聴しました。
詳しくは、次回の機関誌(2022年春号)に掲載されます。
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例会概要
生態心理学(アフォーダンス理論)では、動物(人)と環境の出会いencounterのことを「知覚」と呼びます。空気中に満ちている光、振動、化学物質、そして直に接触したときのモノの揺れを情報とし、豊かな環境の性質と自身の身体の可能性に出会い、知ることです。生まれてから死ぬまで知覚はずっと続きます。
日常生活に充満しているこういったエコロジカルな情報を、子どもたちはどのように感受しているのでしょうか。そして、そもそも私たちが住んでいる場所には、エコロジカルな情報がどのように存在しているのでしょうか。食事や散歩など、一見何気ない子ども達のふるまいから探りたいと思います。
講師プロフィール
山﨑 寛恵 氏(東京学芸大学教育学部特任准教授)
専門分野は発達心理学,生態心理学。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得後退学。博士(教育学)。お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所研究協力員を経て現職。家庭や乳幼児施設での子ども達の日常生活を観察し、発達を促進する環境について研究している。
著書
『発達保育実践政策学研究のフロントランナー 第1巻保育の実践科学』(分担執筆 第8章,2021,中央法規)
『知の生態学的転回1 身体:環境とのエンカウンター』(分担執筆 第2章,2013,東京大学出版会)、DVD『ふれあうことからはじまる子育て』(共同監修,2021,岩波映像)など。